被扶養者(異動)届を提出する前に確認したいこと

被扶養者(異動)届を提出する

〜子どもを扶養に追加するときに確認すること・書き方の注意点〜

こんにちは。「社労士事務所開業への道」ブログ管理人のみやびです。
事務指定講習で学んだ内容をもとに、社労士事務所で働いていた時に大切にしていた内容をお届けします。

明日は4月1日です。新入社員も入ってきますね。入社手続きについては、ぜひ前回の記事も参考にしてください!

👉 前回の記事:社会保険 資格取得届を提出する前に必ず確認したいこと

本日は、前回のつづきで、資格取得届と同時に提出することが多い「被扶養者(異動)届」の提出についての注意点を書きたいと思います。


【この記事について】
被扶養者(異動)届は、従業員の家族構成が変わるたびに提出が必要な届出です。出生・結婚・離職など、さまざまな場面で登場します。今回は「子どもが生まれた・子どもを扶養に入れる」という最もよくあるケースを取り上げ、実務での確認ポイントと記載の注意点をまとめます。


そもそも「被扶養者」とは?試験知識を実務につなげる

健康保険の被扶養者になれるのは、被保険者に生計を維持されている一定範囲の親族です。子どもの場合、主に以下の要件を満たす必要があります。

要件 内容
続柄被保険者の子(実子・養子どちらも対象)
同居・別居子どもは別居でも被扶養者になれる
年収要件年収130万円未満(障害者・60歳以上は180万円未満、19歳以上23歳未満は150万円未満)
被保険者との収入比較被保険者の年収の2分の1未満であること
年齢原則として75歳未満(75歳以上は後期高齢者医療制度へ)

【実務ポイント】 試験では「3親等内の親族」「同居・別居の区別」を学びますが、実務で最もよく聞かれるのは「この子どもは被扶養者になれますか?」という確認です。子どもは別居でも扶養に入れる点、また学生のアルバイト収入が130万円を超えそうな場合は扶養を外れる必要がある点は、顧問先からよく相談される内容です。

【改正:2026年4月〜】被扶養者認定の判定方法が変わります

2025年10月1日付の厚生労働省通達により、2026年4月1日から被扶養者認定における年間収入の判定方法が変更されます。

◆ 変更のポイント
これまで:過去の収入・現時点の収入・将来の見込みを総合的に判断
2026年4月〜:労働契約(労働条件通知書等)に記載された賃金から見込まれる年間収入で判定

◆ 実務上の主な影響
・労働契約に明確な規定がない時間外労働(残業代)は、年間収入に含めなくてよい
・繁忙期の残業で一時的に130万円を超えても、社会通念上妥当な範囲であれば扶養認定を取り消す必要はない
・労働条件通知書の記載内容(時給・所定労働時間・勤務日数・固定残業の有無など)が扶養認定の根拠書類となる

この改正は配偶者など就労中の被扶養者が対象となるケースが多いですが、高校生・大学生のアルバイトにも影響します。詳細は次回の記事で取り上げます。


提出期限:事由発生から5日以内

被扶養者(異動)届の提出期限は、異動の事由が発生した日から5日以内です。これは資格取得届と同じ期限です。

【注意】 提出が遅れると、被扶養者として認定される日が遅くなる場合があります。出産直後は従業員本人も慌ただしいため、社労士側から「出産後は速やかに連絡を」と先回りして伝えておくことが重要です。子どもの保険証はすぐに必要になるケースも多いため、5日以内という期限を顧問先にもしっかり周知しましょう。


PART 1|顧問先から必ず聞き出す情報リスト

届出書を正確に作成するために、顧問先の担当者から以下の情報を事前に収集しましょう。「あとから追加で聞く」が重なると信頼を損ねます。最初に一括で確認するのが実務の鉄則です。

① 被保険者(従業員本人)の情報

確認項目 確認のポイント
氏名・生年月日・被保険者番号届出書の特定と照合に必要
事業所名・所在地事業主記入欄に記載
被保険者の年収(見込み)扶養認定の収入比較に使用。賃金台帳等で見込みを確認
異動が生じた年月日出生日・認定希望日など。提出期限(5日以内)の起算点になる

② 扶養に追加する子どもの情報

確認項目 確認のポイント 注意点
氏名(フリガナ含む)戸籍上の氏名を確認住民票で確認
生年月日出生届受理後に確認出生日が認定日(異動日)になる
性別届出書記載欄マイナンバーと不一致の場合は要確認
個人番号(マイナンバー)出生後に市区町村から付番される付番前の場合は後日補完。住所記載が必要になる
住所被保険者と同居か別居かを確認子どもは別居でも可。ただし住所は正確に記載
年収見込み乳幼児・小中学生は基本的に0円高校生以上でアルバイトをしている場合は要確認
在学状況小・中・高・大学・専門学校など届出書の「職業」欄の記載に影響する

【実務ポイント】 住民票のコピーを頂けると、マイナンバーをはじめ被扶養者の基本情報(氏名・生年月日・住所・続柄)をほぼ一度に確認できるので大変便利です。入社時や扶養追加時に「住民票(世帯全員記載のもの)をご用意ください」と案内しておくと手続きがスムーズになります。

【注意】 マイナンバーカードは出生時に特急発行の対象となるため、早ければ約1週間で被保険者のもとに届きます(一般的には1か月程度かかります)。ただし、前述の実務ポイントでもご紹介したとおり、住民票を取得することでマイナンバーをすぐに確認できます。出生直後で届出を急ぐ場合は、まず住民票を取得するよう顧問先にお伝えください。

③ 添付書類の確認

被扶養者の認定には、続柄・収入を証明する書類が必要です。ただし、被保険者と被扶養者の双方のマイナンバーが届出書に記載されており、事業主が続柄を確認済みの場合は、続柄確認のための書類提出を省略できます(日本年金機構の規定による)。

ケース 必要な添付書類
出生による追加(新生児)
※マイナンバー未取得
母子健康手帳(出生届出済証明のページ)または出生証明書+住所記載
出生後しばらく経ってからの追加
(マイナンバーあり)
被保険者・被扶養者の双方のマイナンバーを届出に記載し、事業主が続柄確認済みであれば住民票の添付不要
出生後しばらく経ってからの追加
(マイナンバーなし)
住民票(続柄が記載されたもの・コピー不可・マイナンバー記載なしのもの)
16歳以上の子どもを追加上記の続柄書類+収入を確認できる書類(在学証明書・源泉徴収票など)
※事業主確認で収入書類省略可
別居している子どもを追加住民票(別居が確認できるもの)+仕送りの事実が確認できる書類

【実務ポイント】 添付書類の要否は健康保険組合によって異なります。協会けんぽと健康保険組合では求められる書類が違う場合があるため、顧問先が加入している保険者を最初に確認しておきましょう。


PART 2|届出書の書き方注意点

異動年月日の記載

子どもを追加する場合の「異動年月日」は、原則として出生日を記載します。出生届の受理を待ってから届出する場合でも、異動年月日は出生日に遡ります。

【実務ポイント】 「出産後は速やかに事務担当者へ連絡を」と就業規則や入社時のオリエンテーションで周知しておくよう、顧問先にアドバイスすると喜ばれます。

収入欄の記載

子どもの収入欄の記載は、年齢・状況によって異なります。

子どもの状況 収入欄の記載
乳幼児・小中学生0円(収入なし)と記載
高校生(アルバイトあり)年間のアルバイト収入見込み額を記載
大学生(アルバイトあり)年間収入見込みが130万円未満であることを確認のうえ記載

【注意】 大学生のアルバイト収入が130万円を超えると扶養を外れる必要があります。短期バイトや掛け持ちで年収が膨らむケースが増えていますので、「お子さんがアルバイトをしている場合は年収を随時確認してください」と顧問先に伝えておくことが重要です。

記載欄ごとの主な注意点まとめ

記載欄 注意点
異動年月日出生日を記載。届出日ではない
被扶養者の氏名戸籍上の正式氏名。フリガナも必須
個人番号(マイナンバー)未取得の場合は住所の記載が必要
続柄「子」と記載
収入(年収)乳幼児は0円。高校生以上はアルバイト収入を確認
職業欄「小・中学生以下」「高校生」「大学生」など在学状況を記載(出生直後も「小中学生以下」を選択)
添付書類被保険者・被扶養者双方のマイナンバー記載+事業主の続柄確認で住民票の添付省略可。保険者により異なる

まとめ|提出前の最終確認チェックリスト

以下の項目を提出前に必ず確認してください。顧問先への確認シートとしてもご活用いただけます。

☐ 異動年月日は出生日になっているか(届出日ではない)

☐ 子どもの氏名・フリガナ・生年月日・性別は正確か(住民票で確認)

住民票のコピーを頂けるとマイナンバーをはじめほぼ被扶養者の内容を確認できるので便利

☐ 個人番号(マイナンバー)は記載されているか。未取得の場合、住所は記載されているか

☐ 続柄は「子」と正しく記載されているか

☐ 職業欄(在学状況)は記載されているか

☐ 被保険者・被扶養者双方のマイナンバーが記載され、事業主の続柄確認が済んでいれば住民票の添付は不要(確認済みの場合は続柄確認欄にチェック)

☐ マイナンバーがない場合、住民票(原本・マイナンバー記載なし)は揃っているか

☐ 提出期限(異動日から5日以内)を守れているか

☐ 加入している保険者(協会けんぽ・健保組合)を確認したか

【チェック】 このチェックリストは顧問先への確認シートとしてもご活用いただけます。異動が生じるたびに担当者と一緒に確認することで、届出書の差し戻しゼロを目指しましょう。


おわりに

被扶養者(異動)届は、従業員の家族に関わる手続きだけに、スピードと正確さの両方が求められます。特に出産直後は従業員本人も慌ただしいため、社労士側から「どんな書類が必要か・いつまでに出すか」を先回りして案内できると、顧問先からの信頼につながります。

試験で学んだ「被扶養者の範囲」「130万円の壁」「生計維持の概念」が、実務ではこのような形で問われます。知識を届出書の各欄と結びつけて覚えておくと、開業後の実務がぐっとスムーズになります。

【参考資料】 日本年金機構「健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届」/ 健康保険法第3条第7項(被扶養者の定義)/ 厚生労働省通達「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて」(令和7年10月1日 保保発1001第3号)

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